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学歴って何!? 教育ドキュメンタリー映画「Most Likely to Succeed」の鑑賞のススメと教育考

課題解決型学習の未来とは

 同僚にドキュメンタリー映画「Most Likely To Succeed」(成功に一番近い教育とは)をすすめられ休日を機に観賞しました。翌日にはオンラインレビュー会にも参加。

 そこで映画のテーマのひとつである「課題解決型学習(Project Based Learning)」と「対話」について考えてみました。教室運営者の方にオススメします。ぜひ保護者と一緒にレビュー会をしましょう。新しいコミュニケーションが取ることでしょう。

 

 

  

大人に「忍耐を身に付けて」と言われた女の子

  私にとってのこの映画の見せ場は冒頭に訪れました。先生と母親という二人の大人に囲まれて「忍耐を身に付けて」と言われて呆然としています。すごく残酷なシーンです。「対話」の断絶です。
 『Most Likely to Succeed』の舞台は、カリフォルニア州サンディエゴにある「High Tech High」。重要なポイントはチャータースクール(認可の公立高校)で行われている点にあると思っています。公立高校で、このシステムが上手くワークするのか長期間で見ないといけないと思いました。

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ドキュメンタリー映画「Most Likely To Succeed」(成功に一番近い教育とは)

 

教育ドキュメンタリー映画「Most Likely to Succeed」とは

 『Most Likely to Succeed』は、アメリカの先進的な学校(High Tech High)でのプロジェクト型学習を追ったドキュメンタリー映画です。映画の舞台は、カリフォルニア州サンディエゴにある「High Tech High」(ハイテク・ハイ、以下HTH)。この学校は上の写真のような子をなくすために作られた学校です。HTHの概要は以下の通りです。

 

HTHには、決まった教科書、定期試験がないことで知られる。時間割も一日2、3コマしかなく、緩やかである。どんな授業をするかはそれぞれの教師にまかされている。生徒たちはチームを作り、保護者などが見学に来る学期末の展示会に向け、作品を制作する。教師は2人でチームを組み、それぞれの得意分野を生かしつつ協業する形で、プロジェクトを考える。

課題解決型学習、世界はこの学校に注目する 「ハイテク・ハイ」が日本にやってきた:朝日新聞GLOBE+

 

 映画の中心は、二人の高校1年生の成長でした。企画段階から自分たちで考え、作品完成まで時間をかけて試行錯誤を繰り返すプロジェクトベースの授業の行く末を鑑賞者にじらしながら見せていきます。
 1人目はギリシャ神話の創作演劇プロジェクトに参加。演出、照明、衣装、役者、各々の担当決めを対話を通じて行います。内気でシャイな女の子が演出という大役に立候補。最初はなかなかうまく行きませんが最後は成功します。
 2人目は過去の文明の栄枯盛衰を学習し、そこに通底する特徴を工作を通じて表現するプロジェクトにジョインしました。情熱もありスキルも高そうな男の子が最後に失敗します。しかし先生や仲間との対話を通じて1か月後にリベンジします。
 2人の違いは成功と失敗です。共通しているのは感情の起伏の振れ幅だと感じました。自ら決めたことに対して懸命に取り組み、展示会に挑むという一連のプロジェクトは、課題発見-対応策の仮説-その検証をずっと繰り返します。このサイクルをチームのメンバーとの対話を通じて行うことで、コミュニケーション力や協調性などを磨き上げていくのだと思います。
 素晴らしいプログラムであると純粋に感じました。

 

自ら問題を発見し解決する「課題解決型学習」とは

 PBL(Project-Based Learning)とは、自ら発見した課題の解決に取り組み、その探究プロセスを通じて新たな価値を創造する教育法です。しかし探求と言われてもよく分かりません。探求について辞書で調べると「あるものを得ようとしてさがし求めること。さがし出して手に入れようとすること」。したがって課題解決型学習とは、「自ら探し求める方法を学ぶこと」と言えるでしょう。京産大の論文の冒頭で「科目内容に基づいた学習(Subject Based Learning)」との対比で説明している件が分かりやすいので補足します。 

「課題解決型学習(Project Based Learning)」とは、ある課題が示され、その課題を解決するために必要な知識や能力とは何かを学生自らが考えた上で、その知識や能力を身につけ、課題解決に役立てるという流れを持った学習である。大人数講義型科目に代表される「科目内容に基づいた学習(Subject Based Learning)」のように何を知るべきかが教員によって提示されるのではなく、学生自身が何を学ぶべきかを主体的に決めるところにその基盤があり)、日本においては、専門分野における少人数での演習や、いわゆる「キャリア教育」における少人数での演習科目の形で、課題解決型の授業が運営されている。

京産大「課題解決型授業における満足度と教育成果との関係」より

 

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教室の中心にいるのは子供なのか、先生なのか

 

「課題解決型学習」は既成価値観を超えられるか?

 この映画は、従来からの価値観から脱することが出来ない保護者や子供たちも出てきます。教科書がないことへの不安。米国名門大学群「アイビーリーグ」に入りたいと訴える保護者。そして子どもたちも一緒です。クリティカルシンキングは大学に入ってから学ぶからいまはテストのための教育をしてほしいと訴えます。
 実際は、「この学びは非常に大切だが、我が子には成功のために大学に入学してほしい」と思っている学歴主義の保護者が大部分ではないでしょうか。つまり社会が同時に変わらないと変革は起きないとも感じています。特に高い勤労倫理を大切にする日本人にとって「学歴社会」や「成功」などの価値観は馴染みやすい評価軸であり、この軸を変えるには相当の時間を要するとも思います。

 

対話の出発点としての「Most Likely to Succeed」


 映画「Most Likely to Succeed」は、教育とは何か?について、社会や大人と、子どもの視点を行き来しながら描いています。レビュー会では現役女子大生(教育系)と話す機会がありました。彼女は「日本にハイテクハイを作りたいと思っています」ってハニカミながらおっしゃっていました。衝撃です。私は課題解決型学習の課題は、日本には教える先生がいないのではと課題感を持っていましたが、こんな若手が育ってきていることは希望でした。
 教育の英語は、Educationです。その語源や意味は「内在する可能性を引き出す」という意味だそうです。そう考えると知識を詰め込む学習というのは少なくてもEducationとは遠いようにも思えますし、探求がEducationに近いかもしれないと再認識しました。Educationの本質は、子どもたちの探求心を引き出すことにあると、言葉を生み出した古の偉人が教えてくれているのかもしれないと感じました。
 この映画の作り手は、不確定な時代にあり、多様な考え方を持つ大人がたくさんいることを知っています。対話の出発点になる映画です。子供たちが対話のなかから学びを身につけているように、私たち大人も対話のなかから学びについて考え続けたいと思いました。

 

ということで楽しかったです!

 

スマホやPCでもすぐに見ることが出来ます(有料)。

vimeo.com

 

 

参考資料

Future Edu Tokyo : 一社)フューチャーエデュ

【レポート】AI時代に必要な教育・人材開発・組織とは?”Most likely to succeed” – Mindfulness Project

映画「Most Likely To Succeed」ーこれからの世界で生き抜く子どもを育てる新しい学校教育とは?|アットカフェ